2016年は申年。干支にはどんな意味があるの? ~出発編~
未年の2015年がもう少しで終わり、来年2016年には申年がやってきます。
普段から何気なく会話の中で使っている干支ですが、なぜ「子、丑、寅~」という順番があるのでしょうか。
そして、その順番はどうやって決まったのでしょうか。
今回は、なぜ干支の順番がねずみから始まり、イノシシで終わっているのか。由来は諸説ありますが、一番有力だとされているものをご紹介していきたいと思います。
その昔、ネズミ、牛、トラ、ウサギ、竜、ヘビ、馬、ヒツジ、サル、鳥、犬、イノシシ、猫。合計で、13種類の動物たちが、仲良くひとつの森に住んでいました。
犬「いよいよ来週は新年。神様のところに御挨拶だね」
竜「売りたいわー、神様にもっと媚を売りたいわー」
トラ「例えば?」
竜「背中に乗せて遠くまで運んであげたいわー」
ウサギ「まんが日本昔ばなしかよ」
サル「キャッキャ!」
イノシシ「うるせーぞ、クソザル!」
ネズミ「みなさん、喧嘩は良くないでチュウ」
ヒツジ「まあまあみんな、僕に触れてモフモフして癒されてよ」
馬「ありがとう! わぁ、あったかいなぁ」
ヘビ「私もお言葉に甘えて」
鳥「ヘビさん、それは触るんじゃなくて締め付けって言うんッスよ! でもマジハンパねぇッス!」
猫「(コタツで丸くなる俺の姿にみんなメロメロだ…!)」
牛「焼き肉焼いても家焼くな」
毎日にぎやかな動物たちは、犬の発言の通り、毎年、新年に欠かさずに行っている行事があります。
それが、神様へのお正月のご挨拶だったのです。
その頃、神様の家では――
神様A「毎年みんな挨拶に来てくれるのはいいけれど、早い子だと午前中。遅いと23時頃で、新年が丸一日潰れちゃうのって、実はイヤなのよね。何かいい方法はないかしら」
神様B「だったら競争させるのは? 1位になった人には賞品をあげるって言ってニンジンをぶら下げちゃえばいいんじゃない?」
神様C「ニンジンなら馬が1位になるのは確実だぞ!」
神様A「アラヤダ、それいいわ。なら、それっぽい特別な称号でも用意して、レースさせるわ」
神様B「決定だね。神から称号がもらえると聞けば、みんな飛んでくるよ」
神様C「竜と鳥以外は飛べないぞ!」
こうして、動物たちの下へ、神様から手紙が届きました。
そこには以下のようなことが書かれていました。
<13種類にもなる動物たちへ>
「新年、一発目からレースを開催します。12位までの動物たちには、『干支』っていう、いつまでも残る名誉ある称号を与えちゃうので、頑張ってね。っていうか、もうこれを読んだ時点から、勝負は始まってるから。ウットリするほどの醜い争いを見せて欲しいなぁ。ちなみに武器の使用もOKよん」
神様からの手紙を読んだ動物たちは、うわべだけの笑顔を浮かべ、「こんな一通の手紙で俺たちの仲が悪くなるわけないぜ!」と言いつつも、みんな目は北島康介の平泳ぎのようでした。
それから新年までは、神様にアピールするために、レースの練習を開始。中でも牛は足が遅く、みんなから笑われていました。その他の動物たちは、意外にもいい勝負。それでも全員が全員、他の動物に対しては、レースに本気では無いアピールを続けていました。
勝ちたくないと思っている動物など、一匹もいないのに。
そしてついに大晦日の晩、レースは動き出します。
牛が、自分の足が遅いことを言い訳に、フライングをかましたのです。
さすがは牛、汚いやつです。
しかし、ほかの動物たちは、誰も文句を言ったりしません。なぜなら牛は足が遅いため、全員、追い越せる自信があったからです。
牛を先に行かせて、神様にレースしてるぞアピールをしつつ、最後はみんな1位で仲良くゴールする。これが理想だと、場の空気だけは物語っていました。
もちろん、誰もそんなことは思っていません。
牛は森を離れ、みんなの気配が完全に消えたところで、猛ダッシュを決めました。そう、牛はこの日、この瞬間まで、ひたすら足が遅いアピールをしていたのです。とんでもない野郎です。牛は捨てるところがないくらいすべての部位が美味しいです。
次の日、夜が明けると同時に、動物たちは、誰が言ったともなく、鬼のような形相で神様の下へ出発しました。建前は捨て、醜い争いの幕を開けたのです。
次回予告
一足先に先頭を走る卑怯な牛と、追いかける他の動物たち。血で血を洗う抗争の果て、1位になった動物とは? みんながレースをする中、出発せずに眠っていた動物とは? すべてを影で操っていた真の黒幕の存在が、いま明らかになる。