「23時間営業のコンビニ」が、お客様の満足度を100%にする!?
【コンビニエンス】=『便利』『好都合』
誰もが一度は利用したことがあるコンビニ。果たして、利用者の全員が現状のコンビニに満足しているのでしょうか。私は100%の満足は相当な企業努力をもってしても、難しいと考えます。
ただし、100%に近づけるための努力は必要です。方法として、もしも私が、自由にコンビニを経営できるならば、「23時間営業」を実施します。
いきなり何を言っているんだと思うかもしれませんが、想像してみて下さい。2月の深夜2時、体に突き刺さるような寒風の中、唇とあごをガタガタと震わせながら、家から少々歩いたところにあるコンビニへやっとの思いで到着。
すると、入口に張り紙が…。
<当店はただいま、機器メンテナンスのため、深夜2時から1時間だけクローズさせていただいております。しばらくお待ちください>
心がポキッと折れる音が聞こえます。
ポキッならまだ修復可能かもしれませんが、バキバキッ! と折れる人だっているに違いないです。
しばらくってなんだよ、この寒空の中で待てってのか、会いたくなくても震えるわ! と張り紙にツッコミを入れたくなりながら、結果として、「夜にこのコンビニへ来るのは絶対やめよう」と心に決めてしまいます。
理由は簡単、また来店したときに、同じような経験をしたくないからです。
実は、顧客のこうした経験の積み重ねが、売上や稼働に大きく影響するのです。この事実に、いかに早く気がついて、対策を講じ、マイナス要素を潰していくかが経営者や、現場リーダーの手腕になります。
ちなみに寒空の下、顧客を待たせない最もお手軽な対策方法は「24時間営業であり続けること」もしくは、私が考える23時間営業です。
コンビニの経営者からしてみれば、「たった1時間のクローズで、告知もしっかりとしているんだから大丈夫」となりそうですが、そうはいきません。
コンビニはもちろん、近所のスーパーマーケットだってそうです。顧客は、そこまでしっかり告知物は見ていませんし、店内放送も聞いてなんかくれません。
その店舗の大ファンでもない限り、スマホで細かく営業時間を調べることもしません。
試しに、これを読んでいるあなた、いつも足を運んでいる近所のスーパーマーケットが、今月はいつが休みなのかを憶えていますか?
ぜひ今度、近所のスーパーマーケットへ行ったときには、店内にどの位、休みが告知されているかを探してみてください。年中無休だとしても、棚卸しのために営業時間を短縮することもあります。
だからこそ私は、24時間営業ではなく、23時間営業を推奨するのです。1時間あれば、その間に掃除やその他など、店内のことを色々と行うことができ、良い意味でリセットをかけることができます。
また、営業時間の短縮でいいますと、パチンコ店では、「戦略的に開店時間を遅くする」ことがあります。これは「圧縮営業」とも呼ばれています。
圧縮営業が生むメリットとデメリット
例えば、特に何も予定のない休日、せっかくなのでパチンコでも打とうかなと思い立ち、電車に揺られ、久しぶりにパチンコ店へやってきたとしましょう。
このとき、あなたの中では「ホールのある場所は都内なので、年中無休はもちろん、夕方からの新台入替による開店はない」という最低限の知識がインプットされています。
電車を降り、久しぶりのパチンコに心はワクワク、胸がドキドキ、気持ちもソワソワしながらパチンコホールA店に到着。
すると、入口にポスターが…。
「スタッフ研修実施のため、A店は14時オープン」
「あぁ…、仕方ない、近くにあるグループ店舗のB店に行ってみるか」と考えてB店へ。
しかし、そこの入り口には…。
「スタッフ研修実施のため、B店は17時オープン」
営業時間を削ってまで行う研修って、いったい何をやっているんだろか。
そういえば以前、どこぞの居酒屋の社長が、鼻血出そうがぶっ倒れようが、最後までやらせれば、それは無理ではなくなるって言ってたなあ。それこそ僕には無理だなあ。
「それにしても教育熱心ですね」と思いながら、店頭で17時オープンを案内している店舗スタッフの声に耳を傾けると、「正面のC店は現在、営業しております! 17時までは、ぜひC店をご利用ください!」と、店長か本部から言われた通りのセリフを連呼。
店舗スタッフのかけ声からは【店側の都合の良い思惑】が見て取れます。
・ダウン気味であるC店の稼働を17時までアップ!
・事前告知&当日の店頭でのスタッフ対応で、B店はお客様へのケアもバッチリ!
・A店もB店も、通常営業の系列店であるC店へ行ってもらえれば、何も問題なし!
・14時、17時開店のA店とB店の稼動も夕方以降アップ!
・スタッフ研修を実施して、接客スキルも向上!
といったところでしょうか。しかし、そこには、事前告知なんぞ知ったことじゃない、2店舗をたらい回されたお客様の徒労感や、失望感は組み込まれていません。「お客様第一」のためのスタッフ研修が、本末転倒です。
同じシチュエーションをパチンコのヘビーユーザーが経験した場合「このチェーン店はやたら、<研修実施>と銘打って、圧縮営業をしている。近隣店のどこかが営業していれば、問題ないと思っているようだが、そんなやり方で玉を出すわけがないよな…」
そりゃそうですよね。すべて、店舗側の勝手でやっていることで、お客様の利便とか気持ちがすくい取られておらず、稼働、粗利優先が見え見えです。
結果、今回の記事の前半に書いた、コンビニの張り紙を見た人と同じ気持ちになります。
「系列店も含めて、もうこのパチンコホールへ来るのは絶対やめよう」と。
顧客を満足させるという観点では、24時間営業のコンビニや飲食店と比較しても、まだまだ、顧客が求める内容に沿った営業はできておらず、表面的なものを含めて、多くの努力が必要だと言えます。
経営者はこれから先、いま以上の手腕はもちろん、業界に対する先見の明も必要になってきます。
顧客の気持ちを確実に汲める的確な判断が、明日の企業を創るのです。
筆者:小田利德