知ってた?「臨機応変」の裏に隠されたキケンな真意
ホールで仕事をしていると、様々なシチュエーションに出くわすことがありますよね。
この「What Is the Situation=こんな時どうしますか?」というテーマのコラムでは、
状況に応じた対応方法のケーススタディーを紹介していきます。
こんにちは。改めまして執筆者の小田です。
連載開始の記念すべき第一回をお読みくださり、ありがとうございます。
読者の皆さんの多くは、パチンコホール、飲食店などを経営する会社に勤務されている方が多いと思います。
日々、何百人、何千人のもお客様が店舗に「期待」を抱いてお越しくださいます。
そして「期待」と「現実」のギャップが「満足」や「不満足」になるわけです。
「期待」=「現実」なら「満足」
「期待」>「現実」なら「不満足」
「期待」<「現実」なら「感動」
当たり前のことですね。
ただ、「期待」には個人差があります。
人によって、同じ現象や体験でも受け止め方が違うわけです。
だからこそタイトルにあるように、その時の顧客の立場で考えて、行動できる人材育成をする必要があるんです(考えるだけでは当然ダメです)。
人は不満を感じると、最低14、5人にそのことを伝えるといいます。
しかし、このデータはSNSが発達する前の話ですから、現在の数は、その比ではありません。
ちなみに、良い体験は3、4人らしいです。
ですから、悪い店舗体験はすぐに、それこそ秒速で世間に知れ渡ります。
「私は不満足である」という意思決定は、一瞬でなされます。
残念ながら、それ以前の良い印象も一瞬の悪い体験で消し飛ぶことも多いようです。
私は「臨機応変」という言葉が嫌いです。
正確に書くと、<「臨機応変」に対応してください>という言い回しが嫌いと書いたほうがいいでしょうか。
よく、対応マニュアルとかに書いてありませんか?
また、ついつい使ってしまうこともありませんか?
「様々なお客様がいらっしゃいますので、臨機応変に接してください」といった言葉を…。
臨機応変とは「状況に応じた行動をとること。場合によって、その対応を変えること」。
いや、本来はそれが正しいんです。
だけど、それはお客様に感謝の言葉をかけてもらったり、あるいは逆にお客様から罵声を浴びせられたりした体験をして、苦境を乗り越えて成長した従業員からしか出てこない行動ではないでしょうか?
つまり、ベテランだからこそできる行動が臨機応変なんです。
一方で世の中の接客業従事者(サービス業、サービススタッフ、サーバーと称される方々)の「ベテラン」「新人」比率はどうでしょうか?
言うまでもなく後者の人口の方がかなり多いですよね。
新人や若手スタッフは「臨機応変に対応」と言われたとき、どこの引き出しを開ければよいのでしょうか?
こういう時に使う「臨機応変」という言葉には、どうも「逃げ口上」的テイストが含まれているような感じがして、嫌なんです。
「丸投げ体質」「責任逃れ」…。「臨機応変」という言葉の裏にはそんな意味合いが潜んでいるように感じてなりません。
このコラムを書こうとした意図はまさにそこにあります。
責任逃れをしているようでは、当然ながらお客様から支持される可能性は低下していってしまいます。
本コラムでは、具体的なシチュエーションを例にして、どんなキャリアの方でも同じような質の高いサービスができるようになるような情報をご提供していきます。
次回より、さまざまなシチュエーションを想定して解決策を見出していきますので、どんどん接客の引き出しの数を増やしていきましょう!
筆者:小田利德