人が不快に感じる距離は何センチ? お客様の姿勢編〈前編〉
パーソナル・スペースを維持する秘策は?
有能な管理者が必ず見ているモノとは?
このコラムはパチンコ店をはじめとしたサービス業の具体的なシチュエーションを例にして連載しています。今回のThe Situationでは、お客様の姿勢に問題がある場合。
遠まわしに書きましたが、ストレートに申し上げるとこういうことです。
「ふんぞり返り方が、度を越している」
「脚を組んでいて、となりのお客様につま先が当たりそう」
「斜めを向いているので、隣エリアに身体が入り込んでいる」
などなど。
隣に座られたくないので、わざと脚を広げるようにして組んでいる人もお見かけしますね。
人によって個人差はありますが、誰でも見知らぬ人がすぐ近くにいることには不快感を覚えるものですので、致し方のないことかもしれません。
パーソナル・スペースという用語があり、
これはコミュニケーションをとる相手が自分に近づくことを許せる自分の周囲の空間・縄張りを指します。
縄張りですから、ここに他人が侵入してくると人は不快感や嫌悪感を覚えます。
防衛本能が働いている状態になるのです。
しかし、逆に親しい相手や好意を寄せている相手であれば、容易に受け入れることができます。
このパーソナル・スペースの距離感は、大体、45センチと言われています。
これ以上侵入されると嫌な人も出てくるのでホールにおいて快適に遊技できない状況に陥ります。
とはいえ、ほとんどのホールは45センチ以上台間を広げるほどの余裕はないでしょう。
つまり、パチンコ・パチスロという遊技は、お客様がパーソナル・スペースを犠牲にして遊んでくださっているものだということを、もっと認識すべきなんです。
お客様が自分から隣のお客様に「離れてください」とは言いにくいのは当然ですし、
スタッフが能動的にお客様の姿勢をチェックすべきだということです。
熟練された優秀な接客スタッフほど、
モノではなく、「お客様」のことをウオッチングしています。
一方、そうではないスタッフや管理職は、ポスターの傾き具合や電球切れなどを発見しては、
鬼の首をとったかのように改善指示を出して悦に入っていることが多いです。
ポスターや電球は動いていませんから発見しやすく、交換すれば済むので改善もしやすいです。
しかし、お客さま=ヒトは常に動いています。
わずか一瞬のことで迷惑だと感じたり腹が立ったりしますので、
レベルの低いスタッフでは発見できないのです。
だからお客様からご要望、ご不満があって初めて問題を発見して動くわけです(最悪なのは、それでも動かないことです)。
これは決して能動的な行動ではなく、「リアクション」に過ぎません。
本来ならば予防に努めるべく「アクション」する必要があるわけで、
「リアクション」ではもはや遅いと自覚すべきなのです。
少なくとも接客のプロフェッショナルとは言えませんよね。
それでは次回は具体的なSTEPを紹介していきましょう。
筆者:小田利德